データサイエンティストの備忘録

外資系コンサルティングファームでデータサイエンティストとして働く筆者がコンサルティング関連の知見やデータ解析技術を活用するために学んだ内容の備忘録

【読書メモ】プロジェクトリーダーの教科書

読んだ目的

  1. 部下をマネジメントする立場になったものの、プロジェクトリーダーとしての経験がなく、日々発生する問題に対する対処法を知るため
  2. 分析依頼が逼迫している状況のため、クライアントとスコープを明確にし、期待値コントロールをしながら、適切な業務量にコントロールするため

得られた学び

本書にはが書かれている。の中でも特に今後に活用したいことをメモしていく。

リーダーの行動原則は3つのフェーズと12のステップに分けられる。基本的な考え方は「いくら精緻な計画を立てて、厳密な管理をしても、プロジェクトでは問題は必ず起こる」と捉えている。

Define:定義する

【ステップ1:最終目標】

  • プロジェクトのゴール(最終目標)を自分の言葉でSMART(具体的な、測定可能な、達成可能な、結果志向な、時間内にできる)に語れる。ゴールを達成すると、どんなビジョン(理想像)が見えるのか、ワクワクする夢を描く。
  • チームを動かすために必要な資質や能力は、リーダーが心の底からプロジェクトの成功を信じ切れているか

【ステップ2:対象範囲】

  • 何を対象としないか(スコープ・アウト)を必ず明文化する

【ステップ3:利害関係者】

  • できるだけ早くコンフリクトを洗い出し、上がりすぎた期待は下げる、下がりすぎた失望は上げる、期待値管理をする
  • パワーも低く、自身の業務への影響度も低いはずの反対派には、反対するだけの理由がある。パワーを持った上位の中立派に対してアプローチして阻止を目論むので、力のない反対派の声にも耳を傾ける
  • ステークホルダー(利害関係者)マップを作る。縦軸が影響力/力関係、横軸が自身が受ける影響度で作成する。力関係は肩書とは合致しない。マップの印刷もしない。

【ステップ4:阻害要因】

  • 起きてしまった問題管理よりも、起きる前のリスク管理を優先する
  • 想定外を最小化するための意図を組み込む。リスクとは潜在的な阻害要因であり、表面化していないため、ディープ・ダイビングして洞察する必要がある。
  • リスク管理プロセスは①認識、②評価、③計画、④監視の4ステップである
  • できる限り多くのリスクを認識できるように心がけ、リスクを否定しないこと。リスクを多く洗い出すのはプロジェクト成功の秘訣である
  • リスク評価マトリクスは縦軸に影響度、横軸に発生可能性を描き、相対評価で対応優先順位を決めていく

Design:デザインする

【ステップ5:資源見積】

  • 安易な誠意や遠慮はデスマーチを招く。バッファマネジメントを通じゴールに導く
  • チーム全体のスキルや経験、プロジェクトの阻害要因、リーダーの勝ちパターンによって攻め方は変わる
  • 無謀なリソース計画でプロジェクトを最後まで完遂することはできず、手法・前提・仮説・コンティンジェンシーに気をつける。前任者の見積も参考にする
  • プロフェッショナルとしての誠意とは、プロジェクト成功に向けて全力をかけて予測した、根拠ある見積もり及び実行計画をお客様に提供すること
  • 例えば2ヶ月のスケジュールを3日で終わらせろという無謀な計画を指示された時は、今の制約条件を無視して、3日で終わらせるためには何が必要かを考える

【ステップ6:体制構築】

  • 組織が目指す高い目標のために、私利を捨て、一致団結して全力を尽くした時に初めて組織の力が発揮される。その時、自分たちは何のために集まっているのかを理解し、一人一人の持つ強みは何かにフォーカスすることが大切
  • プロジェクトにおいては人数(マンパワー)よりも、ゴール達成に必要な能力(スキル)を持っているメンバーを集めることが求められる
  • ヒエラルキー型とマトリックス型のハイブリット体制で運営される。ヒエラルキー型はリーダー、業務区分ごとのリーダ等、マトリックス型はチームと各作業ごとにタスクチームが構成される。
  • 誰が何に責任を持っているかを明確にし、体制図を書くときは必ず役割を簡潔に明文化する

【ステップ7:作業設計】

  • プロセスとはインプット(資源)をアウトプット(成果)に変える取り組み
  • プロセスを設計する時はIPO、5W1H1、スキルレベル、依存関係とマイルストン、1W&1Pを考える必要がある
  • 誰が(Who)、いつまでに(When)、何を行うのか(What)、なぜ行うのか(Why)を考える。スキルが足りない場合、どこで(Where)どうやって(How)行うかを説明する
  • 作業の依存関係を特定し、マイルストンを意識したスケジューリングを行う
  • 1つのタスクは最長1週間以内に分割し、原則1人の担当者を割り当てる
  • CCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)は優先順位付けによるマルチタスクの排除、前倒し作業計画、バッファマネジメント、バックワードプランニング(最終ゴールからの逆日程算出)があり、重要な考え方はクリティカル・パス
  • 「資源が足りなくなったので、対策を検討する」はプロジェクトマネジメントではない。成功に導くにはスコープ、品質、コミュニケーション、リスク、ステークホルダーの5つを集中的に管理する。

【ステップ8:規範設計】

  • ルールないしは無秩序・荒廃を意味するが、品質向上と生産性向上のためのルールは多すぎない範囲(3つまで)に限定する。全員が納得できるシンプルなルールにする
  • 会議体のルールで参加者を最小に限定し、規定される会議以外はメンバーは勝手に参加してはならない

Drive:推進する

【ステップ9:変更管理】

  • いい人はトラブルを招き、さらに傷口を無限大に広げる
  • 要件確定を正式に宣言しても必ず変更要求は発生する。ノーと言う時は、代替案を示す。

【ステップ10:組織運営】

  • チーム内のコミュニケーションがホウレンソウに偏っている場合、道具的コミュニケーション(ホウレンソウ)だけでなく、雑談・挨拶・笑い話などの自己充足的コミュニケーションをする
  • チームになるには形成期・混乱期・秩序期・活動期があり、混乱期こそチームが進化するヒントがあり、メンバーの不満や愚痴から改善要望を拾い上げる
  • プロジェクト期間にメンバーのスキルアップを図る必要があり、スキルに応じたリーダーシップ(1分間リーダーシップのSL理論)をとる
  • できる限りメンバーをエンパワーメントしてチーム全体の底力をつける

【ステップ11:問題解決】

  • 仮説思考で、過去の経験や知識から類推される解決策の可能性を考える
  • 問題分析の時にMECEを意識する時は完璧ではなく、①モレなくを優先、②粒度を揃える、③その他グループをできるだけ作らない
  • フレームワークの利点は①原因分析における要素分解と構造化のスピードを上げる、②自身の経験やスキルによる思い込みや抜けモレを防止する、③異なるバックグラウンドのメンバーでの議論の焦点を合わせる

【ステップ12:意思決定】

  • 判断は過去を見て現在を決めること、決断は限られた時間と不十分な情報の中で「自分はこうしたいという意志、未来への行動」を指し、決断には責任が伴う
  • 意思決定のための評価をする時は、評価軸と評価プロセスを明確に定め、周囲を巻き込む
  • X軸Y軸、マトリックス評価に関わらず、利害関係者が納得できる評価軸になっているかに注意する。
  • 評価基準は定量的に閾値を設定して、緊急度や重要度を整理する
  • 現場の運用まで意識した真のキーマンを巻き込むことを見落とさないようにする
  • 評価プロセスの透明性を高め、関係者を巻き込む仕掛けを構築する
  • 結果が出ない時の意思決定を迅速にし、確証バイアス(先入観・仮説に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、仮説を補強する傾向)の罠に陥らないようにし、意思決定のタイミングを見誤らない

今後のToDo

  1. チーム内のルールが全員納得できる形に再検討する
  2. 期待値コントロールする方法を実践する