読んだ目的
- 既存ユーザーに対する豊富なデータを使ったCRMは十分な知見を持っているものの、新規ユーザーの獲得に関してはあまり詳しくないため
- マーケティング分析結果が、財務的なインパクトを与えているかを検証したいが、検証方法が分からなかったため
得られた学び
本書はデータドリブンマーケティングとのタイトル通り、データに基づいてマーケティングを行う上での指標とその活用方法がまとめられている。
データドリブンマーケティングの戦略立案のためのフレームワークは次のステップで実施する。
- 戦略目標:自社を知る
- データベース構築・分析:顧客を知る
- 顧客分析・ターゲティング:顧客をセグメンテーションする
- マーケティング・キャンペーン:データドリブンマーケティング
- 個人情報問題:信頼関係を構築する
- マーケティング指標:成果をトラッキングする
データドリブンマーケティング実現に向けた指標
マーケティング指標を15個リストアップして、データドリブンなマーケティングを実践する上でのKPIとなる指標を提示している。
認知向上マーケティング
【1. ブランド認知率】
商品サービスの想起のことで、次の聞き方で認知率を測る。
- [商品カテゴリー]について考えた時、最初に思いつく企業名を教えてください
- [商品カテゴリー]において、他に聞いたことのある企業名を教えてください
この調査を電話インタビューやアンケートを通じて行う。
比較検討・評価マーケティング
【2. 試乗(お試し)】
購入前の顧客による商品のお試し使用のことである。
ロイヤリティ・マーケティング
【3. 解約率】
既存顧客の中で、商品やサービスの購買を中止する人の割合で、年単位で計算されることが多い。顧客離反を防止することは、利益率の大幅な改善にもつながる。
マーケティングの黄金指標:顧客満足度
【4. CSAT(Customer Satisfaction)】
「友人や同僚に、この商品(サービス)を勧めたいと思いますか?」という質問を通じて測定される顧客満足度である。ブランディングと顧客ロイヤリティを結びつける概念で、売上高と同程度の重要性として管理していくべき。
マーケティング運用
【5. オファー応諾率】
マーケティング上のオファーに応じる顧客の比率(オファー応諾数/オファー送付数)応諾率を上げ、顧客獲得単価を下げることで、マーケティング費用を大きく下げられる。
需要喚起型マーケティング
財務系指標は次の4つである。ここの計算は別途Excelをダウンロードして計算する方法を確認する。
【6. 利益:売上高 - 費用】
【7. 正味現在価値(NPV:Net Present Value)】
【8. 内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)】
【9. 投資回収期間】
マーケティング施策でかかる投資額分を施策による利益から回収するのに必要な期間のことである。
マーケティングのバランススコアカード
【10. 顧客生涯価値(CLTV:Customer Lifetime Value)】
顧客が将来にわたってもたらす価値。CLTVが高価値・中価値セグメントにはアップセル・クロスセル、CLTVがマイナスのユーザーに対しては支出の最小化を進める。
インターネット・マーケティング
【11. クリック単価(CPC:Cost Per Click)】
リスティング広告またはディスプレイ広告のクリック単価
【12. トランザクションコンバージョン率(TCR:Transaction Conversion Rate)】
広告をクリックしてウェブサイトに遷移したユーザーが商品を購入した割合
【13. 広告費用対効果(ROAS:Return on Ad Dollars Spent)】
収益÷費用
【14. 直帰率】
滞在5秒未満で離脱してしまうユーザーの割合
【15. 口コミ増幅係数(WOM:Word of Mouth、ソーシャルメディア・リーチ)】
(ダイレクトクリック数+シェアから発生したクリック数)/ダイレクトクリック数
さらに高度なデータドリブンマーケティングを実現するためには
マーケティング予算の配分が業績上位企業と下位企業では異なる。マーケティング予算の配分先で、上位企業は需要喚起に振り分ける予算は相対的に小さく、ブランディング、カスタマー・エクイティ(LTV)、ITインフラ・組織能力に振り分けている。