データサイエンティストの備忘録

外資系コンサルティングファームでデータサイエンティストとして働く筆者がコンサルティング関連の知見やデータ解析技術を活用するために学んだ内容の備忘録

【読書メモ】コンサルがマネージャー時代に学ぶコト

読んだ目的

  1. 最近ちょうどマネージャーポジションになったが、スタッフ時代と同じ働き方になっており、マネージャーとしての動き方を学びたかったため
  2. クライアントの信頼を得て案件獲得するための動き方を学ぶため

得られた学び

本書はマネージャーとしての働く上でのTipsが書かれている。マネージャー経験が短い自分にとって動き方を学ぶ上で非常に学びの多い内容だった。日々の業務内ですぐに参照できるように、今後に活用したいことをメモしていく。

インテレクチャルリーダーシップ(チームマネジメント・デリバリー)

本書ではマネージャーはインテレクチャルリーダーシップでをとる必要がある。インテレクチュアルとは、辞書的には"知的な"で、優しさではなく次のようにチームをリードすることである。

  • 論点ワードでサブ論点・サブサブ論点を整理する(尻叩きではなく)
  • TASK設計にHOWのインサイト(新しいデータ取得方法を提示)を入れる(代わりを持ってこいと詰めるのではなく)
  • 対MD(上司)とはインサイトでのホームランの打ち方、最終論点・ストーリー、次プロジェクトの論点などのテーマを議論する
  • 新しい視点を与える(頑張れと鼓舞するのではなく)

詳細には次の5つのキーワードがある。

【1. 論点ワード】

  • マネジメントはタスクベースではなく、論点ベースでマネジメントする
  • 解くべき問い=論点をベースにサブ論点を立てて、クライアント・MD・チームメンバーと議論し、言語化する
  • アウトプットを出す前に論点スライド(論点→サブ論点→サブサブ論点)を書く
  •  思った通りのアウトプットが出てこない理由は、[ロ→→サ→T→ス→作→ア]の各プロセスでズレているからで、論点ワードベースで最初に議論しズレをなくす

 

【2. ワークプラン】

論点ワードに記載した論点を解くためのTASKを考えることがワークプランである。

  • 論点と紐づく形でTASKを整理し、言語化してMD・チームメンバーと共有する
  • 1つの論点に対してサブ論点、仮説、TASK、アウトプットイメージを整理する
  • 良質な論点ワードの先に良質のワークプラン

 

【3. HOWのインサイト

HOWのインサイトはインタビューや検索等の通常のリサーチの基本動作に加え、「言われてみればいい作戦ですね!」と言われるHOWのことである。

  • メンバーにとって分かりやすく感謝につながるので重要である。
  • どうやったら解けるんだ?に真っ向から勝負する
  • HOWのインサイトかToDoかは、そこまでやるのか!と言われるぐらい、泥臭く手間を惜しまず狂気に満ちたTASKかどうか

 

【4. ケース設計】

ケース設計の具体的なアウトプットはプロジェクトの進め方=スケジュールである。お客さんの信頼を得て、高品質なアウトプットを出し、次の案件を獲得するためのに、ケース設計では次の内容を考える必要がある。

  • クライアントとの距離感はどのくらいで、どのように詰めて納得してもらうか(信頼されてないなら前半でできることを示す等)
  • どのタイミングで成果=クイックヒットを打ち、最終的にホームランを打つか
  • そのためにどのような会議体を設けて進めていくべきか
  • どのようなTASK設計=定量・定性調査にすると最大付加価値になるか
  • 今後の受注に向けてどの部分をプレゼントし、どの部分を次ケースにするか

 

【5. モジュール設計】

  • 洗い出したTASKをスケジュールやそれぞれのTASKの関係を鑑みてモジュール化する。モジュールは1つの矢羽のイメージ
  • 誰に担当させるかの平面的な役割分担だけでなく、メンバーの強み・弱みややってみたい経験、楽しいかまで考えて役割分担するのがモジュール設

 

次からはインテレクチャルリーダーシップを磨くためのTipsをまとめる。

  • 毎朝論点ワードを更新し、その上で今時点での答えを書き切る
  • 相対する役職が上がるため、常にエレベータートーク(①端的に話し、いつでもストーリーラインを語れるようにする)できるようにする
  • 課題だと思ったら、もう1段「これが課題もどきだとすると?」と思考する。その上で「構造的に考えてみると?」を考えてみる
  • まとめスライドさえ書けていれば、インテレクチャルリーダーシップを発揮できるので、どんなに忙しくても譲らず、最初にまとめスライドを書く
  • 7手詰めで目の前だけでなく、1つ高い視座からその先の先の相手が動くことを前提に思考を深める(メンバーが理解できないぐらいが丁度良い)

 

データサイエンティストをメンバーに持つチームは特に次のプロセスを意識して、分析→示唆出しの依頼をする。

  1. データ整備を1つのTASKとして括り出す
  2. TASK設計から生み出されるワークプラン時点でどんな軸で分析するのかアウトプットイメージ付きで議論する(証明されたら面白いよねと言う)
  3. 分析アウトプットをPPTスライドにする前にExcelシートベースで議論する
  4. 分析結果を新しいインプットとした場合のストーリーに論点ワードを更新する

 

クライアントへの自分の売り込み

【プレゼンスキル】

  • まずはまとめスライドを読んでもらい、出てきた疑問点に答える形で進める
  • プレゼンは会議後にクライアントにキーメッセージを理解させ、自ら語りやすく、それを聞く相手にもインパクト(数字)を与える

 

【セールス】

次の点は営業の鉄則としてまとめられていた内容である。

  1. あれは得意ですが、これは不得意です:クライアントの課題を全て得意領域と言うと自分達が売りたい物ベースで課題を並べたと思われるので、他の課題も含める
  2. 利害関係者から外れる:質問から始めるのは相手が聞いたから説明するスタンスにできるため
  3. 席を立つ+進化したらご連絡します:興味がない場合は時間があっても離れる
  4. 営業資料のお土産 = [資料自体が面白い] x [情報が限られた中で考え抜いた気持ち] x [その話題を話す、提案する機会]
  5. 初期は1対3で考えてもらう時間を売る:1対1では質問を思い浮かべてもらう時間はないので、相手に人数マウントを取らせて心理的安全性をプレゼントする
  6. 先にニーズ・不満を聞くのはポンコツで、先出しジャンケンで行くこと:無形サービスは課題にアジャストしたと思われるので、先に提案をする
  7. スタンスを取り、こういう状況ならと条件付き売り込みが大吉
  8. "目に見える/見えない" x "必要性、not必要性"の2軸で営業戦略を練る

 

【説得する】

  • 説得する技術の3原則は①相手が自ら気づく、②別の方向に向かってるなら、分岐を詳らかにして正す材料を用意する、③正しさ以外(社内政治等)にも論点はある
  • ファクトベースに議論し、示唆を敢えて書かずに平場で議論して気づかせる
  • "新規事業の筋が悪い"などは書いて炎上させるか、書かずに反応を見ながら話す

 

次の内容はクライアントフェイシングする上で気をつけるべき点を記載する。

  • 最初に思いついたことは絶対に言わない。誰にでも思いつくから、次の口癖で3つ目まで考える。①見たままですが、②何が言えるんだっけ?、③何人中、何人?
  • クライアントとの距離を詰めるにはプロジェクト外の個人的な宿題を取りに行く
  • 宿題を持ち帰ったら筋が悪いのでやりませんも、インサイトなしもご法度
  • 宿題のYesマンは優しさで、その場で本当に意味があるのか議論し、時にはリジェクトする。リジェクトはインサイトがなかったり行動が変わらないことを示す(工数や面倒だと言わない)
  • チェンジモンスター、オレンジボン等のネーミングし印象に残しやすくすること
  • この構造化なのか?を考える。構造化自体に価値はないが、聞く人の頭の中にある構造や、業界の慣習、議論のしやすさをもとに構造を考える

 

上をマネージ、下を愛す

【下との関係構築】

  • チームメンバーの全アウトプットはインプットで、自分で考えアウトプットする
  • 怒る時は人前では怒らず、面と向かって言う
  • 褒める時は利害関係者から外れて間接的に褒める
  • ケースが難しく安定していない時はマイクロマネジメント、ケースが安定しメンバーの調子が良い場合は放任・放置マネジメント
  • 最近いいことありました?でチームメンバーとの距離感を把握し、特にありませんやビジネスの話だと距離感がある
  • 時間内でギリギリ終わるか終わらないかのTASK量をお願いする

 

【上との関係構築】

  • MDに最初の0→1を作らせるのではなく、自分で考え切ってから議論する
  • 常に傍には論点ワード、ワークプラン、ストーリーライン、インプット材料を持つ
  • このタスク追加でやってもらってもいいですか?にはとぼける(=嫌味と思われるくらい褒めてフルでやってるから1つ加えて1つなくすのは当然と早口で畳み掛ける)

 

【PMO】

  1. インテレクチャルリーダーシップでチームをリードする意識は忘れない
  2. チーム/プロジェクトが解くべき問いは何か?をマネジメントする
  3. アウトプット=ワークプラン、WBS(TASK+スケジュール・期限)を効果的に使う
  4. ワークプランはプロジェクトリーダー、各チームのリーダーとひざ詰めで議論
  5. WBSはプロジェクトのTASK漏れチェックで、仕組み化して更新する
  6. MTG[ロ→→サ→T→ス→作→ア]の順に議論する
  7. PMO会議参加者には担当領域について[ロ→→サ→T→ス→作→ア]の議論をする
  8. 叩かれる理由は[ロ→→サ→T]を考え切れていないからにする

その他マネージャーとして働く上で気をつけるべき点をメモする。

  • 昇進に向けて、現実を直視して「あの人になっちゃうのか?」と危機感を醸成する
  • 昇進のため、会議体やインプット・評価基準など、昇進の仕組みを詳らかにする
  • 考える時間を作り、新しい価値を生み出す(タスク消化では昇進できない)。内容は現時点でのストーリー、各クライアントMTG毎に検討すべき問いを考える
  • 論点思考(プロジェクト論点)なのか、戦略思考(仮説・打ち手の議論)なのか、働き方(進め方の議論)なのかの、どの議論をしているのかを意識する

 

今後のToDo

  1. 毎朝論点ワードを更新し、その上で今時点での答えを書き切る
  2. 課題だと思ったら、もう1段「これが課題もどきだとすると?」と思考する。その上で「構造的に考えてみると?」を考えてみる
  3. まとめスライドを巻き取り、最初にまとめスライドを書く
  4. メンバーのインプットをもとに自分で考える
  5. 現時点のストーリー、MTG毎に検討すべき問いを考える時間を確保する