読んだ目的
- マネジメントとなりデータ分析するための論点整理を行う頻度が格段に増えたが、既存の論点の切れ味が悪く、いまいち本質に辿り着けておらず、論点を進化させるための方法論を学ぶ必要があるため
- 現状解いている論点からさらに精度の高い事業課題を解決できる論点を設定できるようになるため
得られた学び
本書には論点の前提を疑い再考するための方法論が論点を研ぐという言い方で書かれている。類似の論点思考の話よりも具体的かつ即効性のある内容であったため、実際の仕事で活用できるようなステップ感とTipsを整理する。
論点を研ぐ技法は次の5つのステップに分けられる。
- 同質化する
- 前提を自覚する
- 前提を問い直す
- 核心を突く
- 再構築する
これらのステップで核心に迫る論点と筋の良い仮説を作り上げる。次からそれぞれのステップでやることと、Tipsを整理する。
1. 同質化する
何を目的に、なぜその論点を掲げているのか、クライアントが解決したいと考える論点と現時点の仮説を、背景や思考構造・意思決定の過程を含めて理解するステップが同質化である。同質化では同じ目線に立ちつつも、同じ轍を踏まないように、客観的に俯瞰する目線を持つ。ポイントは取り組む主論点を意思を持って勝ち取ることである。次から同質化するためのサブステップを整理する。
- 主論点の定義:クライアントの論点群を捉え、価値の出せる論点を勝ち取る
- 最低限の情報収集:これまでの取り組みと主論点の基礎情報を確認
- 論点・仮説の書き下し:クライアントの頭の中の論点と仮説を書き出し、不十分な部分は想定で補う
- 認識点検:イシューツリー・対応仮説をクライアントにぶつけ、論点・仮説に至った背景も含めて認識合わせして修正する
Tips
- 主論点ヒアリングでは会社・部署のミッション、困り事、やりたい事、当社の期待することを確認する
- 主論点の定義では、①経営インパクトが大きく、②自身の能力でも価値を出しうる論点を提案する
- 最低限の情報収集とは主論点に対する一般認識、分からない用語、バリューチェーンとステークホルダー、収支構造、トップの方針、仮説と真逆の意見調査
- クライアントの頭の中にある論点と仮説を言語化する時はクライアントが語ったキーワードを拾って盛り込む
2. 前提を自覚する
論点や仮説を支えるファクトやロジックなどの前提を整理する。次から前提を自覚するためのサブステップを整理する。ここでは前提はなるべくたくさん書き出し、正しい/正しくないを判断せず、当たり前すぎると思うことも書く。
- 論点からのサルベージ:現論点の裏側のファクトやロジックを言語化し、論点を解くと達成できる理由と論点が適切である理由を書き出す
- 仮説からのサルベージ:仮説の裏側のファクトとロジックの前提を書き足す
- 7つの視点からの推察:前提を洗い出すために7つの視点を用いて前提を書き足す
- ラベリング:書き出した前提を7つの視点でラベル付けする
7つの観点
- 定義:独自用語、揺れがちな事象の定義を見直し、認識齟齬を掘り起こす
- プレーヤー:競合がパートナーになる等の発想を広げる
- セグメント:軸の切り方や焦点を当てるセグメントが適切かを炙り出す
- バリューチェーン:担当領域にのみに着目しないように注意するため
- マネタイズ:持っている価値と価値を感じるプレーヤーとのつながりを捉える
- シチュエーション:外部・内部環境を踏まえて論点・仮説が成り立つか検証
- 時間軸:時間がもたらす変化が他6つにどのような影響を与えるかを見直す
3. 前提を問い直す
前提を自覚するで洗い出した前提の中から、真偽に疑いのあるものを抽出する。次から前提を問い直すためのサブステップを整理する。
- 本当にそうか?:漏れ/妥当性/あえての3つを問いかけ、前提同士の整合性を確認
- "疑い"の書き出し:問いかけで生じた疑いや違和感を徹底的に書き出し、見落としや正しくないと感じたこと、あえての思考で得た新たな視点を書き出す
3つの問いかけ
- 漏れ:考える必要があるのに考えられていない観点はないか?
- 妥当性:他の選択肢・見解ではなく、本当にそれが正しいか?
- あえて:あえて違う考え方をするとどうなるか?
4. 核心を突く
"疑い"を見極め、核心を突く切り口を見つけるステップである。次から核心を突くためのサブステップを整理する。
- "疑い"の正体解明:書き出した全ての疑いについてファクトに基づき確認する
- 新前提の捉え直し:認識が誤っていた前提を捨て、正しい前提に置き換える
- 新たな問いの導出:新たな前提を置いた時に出てくる問いを書き出す
Tips
- 疑いの正誤はミッションに照らして目的を確認する、1次情報を取り直す、妥当感のある数字で定量化する、5W1Hで言語化することで検証する
- 覆った前提と、新たなファクト・ロジックを照らし合わせ、核心に迫る新たな前提を置くと、問いも同時に変わる
5. 再構築する
核心を突くで据えた新前提から得た新たな問いを軸に、論点と仮説を再構築する。良い論点は本質を突いており、具体性も高いので仮説を思いつきやすい。次から再構築するためのサブステップを整理する。
- 主論点の再確認:新たな問いが主論点とクライアントのお題に対し妥当かを判断
- サブ論点の組み直し:新たな問いをサブ論点に据えイシューツリーを組み替える
- 新仮説の立案:イシューツリーに答える仮説を改めて書く
サブ論点の組み直し方
- 核心に迫る問いを原則サブ論点にしてイシューツリーを構築する
- 見直した主論点を解く上で欠けているサブ論点を検討し、イシューツリーを作る
- サブ論点にうまくはまらないものはサブサブ論点として埋め込む
今後のToDo
- 新たに事業方針を変更しようと考えているトピックに対して、論点と仮説における前提を洗い出して正しい前提を置いているか洗い出す
- 新しい前提をもとに論点を組み直す