読んだ目的
- 分析結果をストーリーで話すことを学んでいたが、ストーリーで話すことがどうゆう事かを学ぶため
- 全体の戦略と各施策の関係性がバラバラであると感じており、自分の中で納得感のある施策設計になっていないが、施策・プロダクト開発単体ではなく各取り組みの関係性の中で理解したかったため
得られた学び
本書ではストーリーとしての競争戦略がどういったものかが書かれている。色々面白い事例が記載されているが、ここにはストーリーとしての競争戦略の概要だけを記載しておく。
まず、ストーリーとしての競争戦略の最終ゴールは持続的な利益を生み出すことである。戦略ストーリーの5Cがあり、それは競争優位(Competitive Advantage)、コンセプト(Concept)、構成要素(Components)、クリティカル・コア(Critical core)、一貫性(Consistency)がある。ストーリーは起承転結で表すことができ、5Cは次のようにマッピングされる。
- 起:コンセプト(本質的な顧客価値の定義)
- 承:構成要素(競合他社との違い SP(戦略的ポジショニング)とOC(組織能力))
- 転:クリティカル・コア(独自性と一貫性の源泉となる中核的な構成要素)
- 結:競争優位(利益創出の最終的な論理)
戦略はwhat, how, where, when, whyといった様々な問いかけに答える必要がある。Where, Whenは業界の競争構造について、競争戦略で堪える必要があるのはwhat, how, whyの3つで、whatはSP、how,はOC、そしてwhyが戦略ストーリーとなる。これらが競争優位を生み出し、持続的な利益へと繋がっていく。
ストーリーとしての競争戦略を考える時、「結→起→承→転」の順に考える。
【結:競争優位】
結論は持続的な利益を得られました、ちゃんちゃん!だが、どこに軸足を置くのかを下の3つから選ぶことになる。
【承:構成要素】
部品の標準化等やのことで、戦略的にポジショニングを選ぶSPや長期間かけて構築するOCがある。SPとOCはトレードオフの関係にあり、日本企業はOCに力を入れる傾向にある。
【起:コンセプト】
コンセプトとは、サービスの「本質的な顧客価値の定義」であり、「本当のところ誰に何を売っているのか?」の問いに答えることである。筋の良いストーリーを作るには、コンセプトの因果論理で繋がらないものは切り捨てることも重要である。ポイントは誰に嫌われるかと、人間の本質を捉えるモノでなければならないといったことがある。
【転:クリティカル・コア】
クリティカル・コアは一見すると非合理に見え、他の様々な構成要素と同時に多くの繋がりを持っている構成要素である。サッカーで言うところの、「キラーパス」に当たる。一見して非合理だが、ストーリー全体の文脈に位置付けると強力な合理性を持っており、合理的に見えないため他社がマネしようしないことで、持続的な利益につながる強力な違いとなる。
【評価:一貫性】
残ったCである一貫性は戦略ストーリーの評価基準である。構成要素をつなぐ因果論理で決まる。評価基準は次の3点ある。
- 強さ:因果関係の強さ
- 太さ:構成要素間のつながりの数の多さ
- 長さ:時間軸でのストーリーの拡張性なり発展性が高い(好循環が発生する)
ストーリーとしての競争戦略骨法
【1. エンディングから考える】
エンディングから考えるには、「競争優位」と「コンセプト」の2つをイメージする。理由はストーリーの一貫性を確保する必要があるからである。
【2. 「普通の人々」の本性を直視する】
コンセプトを構想するには、「誰をどのように喜ばせるか」をはっきりイメージする。「誰に嫌われるか」と言う視点が重要になる。普通の人々が確かに必要とすること、欲しがるものを価値の中心に据えるべきで、「今そこにある価値」を捉えるコンセプトである必要がある。
【3. 悲観主義で論理を埋める】
優れた戦略ストーリーの条件が一貫性にあるので、打ち手間にある因果関係をよくよく考える。打ち手をつなぐ因果論理をつめる時は悲観主義で臨むべきである。
【4. 物事が起こる順序にこだわる】
戦略ストーリーは打ち手の時間的展開に注目しており、全ての打ち手を同時に実行すると時間軸を見失う。意思決定をすれば出来上がるというものではなく、物事が起こる順序を考えながら練り上げる。
【5. 過去から未来を構想する】
ビジネスを継続的に成長させるには「長い」ストーリーが必要である。「これから」と「これまで」のフィットのよくよく考え、自社の戦略ストーリーの延長上に自然とつながるように構想をする。
【6. 失敗を避けようとしない】
試行錯誤を重ね、ストーリーを修正していく実験的アプローチを採用する。実験して失敗してもフィードバックがかかりにくい。「早く」「小さく」「はっきりと」失敗し、どのパスが通るか学習をしてストーリーを修正していく。
【7. 「賢者の盲点」を衝く】
部分の非合理を全体での合理性に転化することがストーリーの戦略論の醍醐味であり、戦略のある要素が非合理であるほど、競争優位は長期間持続される。
【8. 競合他社に対してオープンに構える】
本当に優れた戦略であれば隠す必要はなく、模倣されるのは個別の要素で非合理的な要素は模倣されず、肝心要の強みまで手に入れるのは困難である。
【9. 抽象化で本質を掴む】
他社のストーリーを読解する時は、抽象化して汎用的な知見を手に入れる。他社のストーリーはある企業の歴史や戦略について記述された本や、優れた経営者の自伝がいい。
【10. 思わず人に話したくなる話をする】
面白いと思えるということは、少なくともその人の頭の中では、ストーリーを構成する様々な決め事や打ち手が論理で無理なく繋がっているということを保証する。
今後のToDo
- 自分のお客さんの戦略をストーリーで考えてみて、クリティカルパスが何なのか、長くなるパスがないかを検証する