読んだ目的
- マネジメントする立場になって改めて配下メンバーに習得してもらうべきスキルを体系的に整理するため
- 自分に足りていないスキルや習得していても他者の知見を改めて見直すため
得られた学び
本書は雑誌でコンサルタント1年目が学ぶスキルが書かれている。論理的思考力、問題解決、プレゼンスキル、タイムマネジメント、情報の取り扱いについて、今後活用したいことをメモしていく。
論理的思考力を鍛える 波頭亮
まず、論理的的であることの要件は2つある。
- 結論が根拠に基づいていること:「根拠→結論」のフォームを満たしていること
- 根拠から結論を導くことの考えの道筋が説得力を持っていること:「根拠→結論」の"→"の部分に多くの人に対する説得力を持っていること("→"が論理)
2つ目の要件である"→"に説得力や納得性という聞き手の事情が含まれることが厄介な点である。
次に論理的思考力を鍛えるためのトレーニング方法をメモする。十分な反復練習が必要で、最低3ヶ月で300時間、1日3時間は必要である。論理的思考力を鍛えるには「適切な言語化」と「集合関係の判断」の2つが必要である。
【1. 適切な言語化】
- 論理的な文章(裁判の判決文など)を多く読んで論理構造の成り立ち方を叩き込む
- 徹底的に接続詞を入れて文章を書いてみる
【2. 集合関係の判断】
考える対象tなる事象をファクターごとに腑分けし、分けられたファクター間同士の関係性(=位相)を整理する訓練を積む。例えば、「春が来た。したがってもうすぐ桜が咲くだろ」は春が来たことによって生じる様々な現象の1つであり、春⊃桜だが、「桜が咲いた。ということは梅はもう散っただろう」は桜−梅という同じ次元上の並列ファクターである。
問題解決能力を上げるトレーニング 瀧本哲史
問題解決能力が低い理由は演習量が圧倒的に足らないからであり、実践機会を多く作る必要がある。まずは個人で実践機会を考えるようにする。記事には書かれていて実践したい内容は下記2点である。
- 日常生活で全てを問題解決ケースと考える:お店の損益分岐点や問題点・改善点を考察し終わるまで食事できない、メニューから客単価を試算、客層、時間帯稼働率、従業員構成などをチェックし、勝ち負けで考察を検証する
- 社内ケースライティング:社内の過去の成功事例、先進事例や戦略的変曲点をリサーチしてまとめてみる
ビジネスプレゼンテーションの基本 菅野誠二
プレゼンの目的は対象相手の認識を変えて「心を動かす」ことと、態度や行動を変え対象者の「体を動かす」ことである。体を動かすには、
【1. 前提の確認】
プレゼンをなぜ行うか、聞き手に何を理解して欲しいのか・何をして欲しいのか、今回のプレゼンで問題解決プロセスのどこまでカバーするのかを考える。
聞き手の分析ではDMU(Decision Making Unit)分析を行い、相対者がゲートキーパー、ユーザー、決定者、承認者、影響力者、購買者等のどの役割なのかを整理する。
【2. 内容構成・資料作成】
論理構成を考える時は空雨傘の順に考えるが、プレゼン作成時は組み直して、解(傘)を提案し、それを論理と事実で支える形に構成を組み直す。演繹型と帰納型を選び、論理全体のメッセージを作る。
プレゼンのまとめでは、①プレゼン中の重要事項の要約と提言の確認をすること、②アクションプログラムと次のステップの承認を得ることが必要である。
【3. 準備と実演】
複雑なチャートの説明時は自分の言いたいメッセージを述べた後に、「それはどうしてかと言うと・・」と縦軸横軸等の意味を説明する。
質疑応答時は質問をメモし、内容を要約して聞き返した上で質問に回答する。
タイムマネジメント 下川憲一
タイムマネジメントの5つの手順がある。最初はいちいち書き下す必要があるが、慣れたら3までは頭の中で完結できるようにする。
- 全体ストーリーにおける自分のタスク・成果物の位置付けを理解
- タスクをイメージ・分解し、関与者を考えながら必要な時間と難易度を見積もる
- プライオリティマトリックスでタスクを分類する
- どのタイミングでタスクを実施するのかを決める(スケジュールを確保する)
- タスクが順調に進まなかった場合の対策を検討する(自分で巻き取る時間を確保)
プライオリティマトリックスは縦軸を位置付け・期限などの鑑みた相対的な重要性、横軸を他メンバーより自分が実践する方が価値を出せるかで分類する。重要度が高く価値が高いタスクは自らの時間を集中すべき領域、重要度は低いが自分が実践した方がいいタスクは隙間時間を見つけてこなす。自分にとって低付加価値のタスクを切り離す。
情報を整理・リッチ化するスキル 吉本貴志
新人に求められる「物事を調べ、意味合いを出す」「議論をファシリテートして決める」「議論・判断するために十分な情報が含まれた資料を作成する」の3つを支えるスキルの特徴は次の2つである。
【1. 情報を整理するスキル】
- 構造化による整理=物事を立体的に整理すること (ピラミッド構造など)
- 軸による整理=同じレベル感で整理する (MECEに同じグループで括る)ことで、難しい事象を比較的簡単に整理できる「何の軸で整理しているのか?」を指摘する
【2. 情報をリッチ化するスキル】
- 情報の可視化:主語述語を補足して明確化すること。できるだけホワイトボードの前に立ち、軸で議論内容を可視化することで
- 情報の定量化:客観的に比較可能な基準を設けることで、ざっくり試算をありものの数字からできるようになる