データサイエンティストの備忘録

外資系コンサルティングファームでデータサイエンティストとして働く筆者がコンサルティング関連の知見やデータ解析技術を活用するために学んだ内容の備忘録

【読書メモ】シンプルに結果を出す人の5W1H思考

読んだ目的

  1. フレームワークを利用するが、使ってもいまいちしっくり来ないことがある
  2. 思考を深めることができていなかったり、抜け漏れを確認する時に5W1Hで考えるが、改めてこの思考枠で考える時のコツを学びたかったため

得られた学び

本書には5W1Hでが書かれている。の中でも特に今後に活用したいことをメモしていく。

【課題提起】Big-Whyで真の目的にさかのぼる

顧客でさえ自分たちが本当に求めている状態に気づかないことが多く、Whyの問いを重ねてBig-Why(真の目的)へとさかのぼる原点回帰の思考法を使うことが重要となる。

What/Howの「何をやるか/どうやるか」から、Why「なぜやるのか」を考え、さらにBig-why「どうありたいのか」を考える。例えば、ダイエットのWhatは毎日3キロ走る、Whyは痩せたいから、Big-whyは美しくなって注目されたい・健康を維持したい等がある。見えにくい高次のWhyレベルへ「さかのぼり思考」ができるほど、思考の守備範囲が広がる。

Big-whyを考える際に役立つ3つの視点である、「3つのあ」について押さえる。

  1. ありかた:思考のアウトプットが顧客を主語にした表現になっているか、何かを実現している状態になっているかを考える。
  2. ありがたみ:顧客や関係者にとって重要で、ワクワクする価値にフォーカスしているか?、ライバルと一線を画する価値になっているか?を考える。
  3. あたらしみ:これまでにない価値定義になっているか?、顧客の生活や社会通念に変化をもたらすような革新的な価値を想像しているか?を考える

【アイデア発想】5W1Hで「思考のキャンバス」を広げる

漏れなく抜けなく思考するための俯瞰の枠組みとして、企画書・提案書・報告書などを作成する際の項目や論点のチェックに使ったり、ユニークな視点を確保するための「発想視野拡大のテコ」として差別化要素を考えるツールになる。

例えば、AKB48は従来のアイドルとは異なり「毎日(When)、固定の劇場(Where)で公演すること」で差別化をしている。秋葉原に拠点を置くことで大衆向けではなくコアなファン(Who)にターゲットを絞っている。

5W1Hの問いを使って出した論点を「広げて、絞り込んで、深める」ことを行なっている。フル活用するポイントは次の2点である。

  1. いかに柔軟な問いに落とし込むか?:Whenのいつ?から、いつから?いつまでに?どんなプロセスで?など問いを変形させ様々な事象に当てはめて考える。
  2. いかに有効に組み合わせるか?:企画やマーケティング計画、企業の方針等で自在に組み合わせて考える。

What以外の4Wが面白い発想のカギになる。WhatやHowに飛びつく前に、その周辺の4Wを操作する。What(モノ:製品・サービス)自体をゼロから生み出すのではなく、4Wを軸に従来の状況を考え、できるだけそれと反対の要素に振ってみる。

  1. Why:何のため?どんな価値を?
  2. When:いつ?長さ(時間/期間)は?速さは?プロセス/流れは?
  3. Where:どこで?どんな場面で?どのチャネルで?
  4. Who:誰が?誰に?誰と?

【コミュニケーション】Why-Howで「説得力あるロジック」を作る

ビジネスにおける説明や説得などのシーンで役立つ論理的コミュニケーションの基本骨格である「Why-What-Howの3点セット」は、コミュニケーションを前提とした思考の枠組みとして特に有効である。何のために・何を・どのようにの形で説得するセットである。例えば、新規事業提案(What)をする時に、「なぜその市場か?(Why)」と「どのように戦うのか(How)」を整理する。

人に動いてもらうためのロジックにおいて、説得上手はWhy-Howのピラミッドを描く。説得の鍵は、相手の立場になって、その疑問や懸念を踏まえた論点に答えることである。説得は3W+1Hの順に、理由(Why-What, Why-Who, Why-When, Why-How)と共に説明する。

  1. What(一般的な)重要性
  2. Who(相手にとっての)必要性
  3. When(相手にとっての)優先性
  4. How(行動の難所を押さえた)実行可能性

話す上でのポイントは次のことが挙げられている。

  • あらかじめ伝えるポイントのセットを予告する
  • 話の展開が相手目線での順番(相手の聞きたい順番)になっているかどうか
  • テーマによっては相手の聞きたい部分・懸念点を重点的に説明するが、まずは広く懸念を洗い出した上で関心領域にフォーカスする。
  • 相手が自分の提案に対してどのような疑問や懸念を示すか想定した上で、メッセージを考えて文章に落とし込む

【問題解決】3W1Hのステップで「決め打ち」「ムダ打ち」をなくす

筋の良い問題解決を行う人は、見えやすいWhatやWhereの要素から出発し、原因側の方向に向かって分析する手順を踏む。例えば、売上改善のために最も効果的な解決策を探すプロセスは次の3W1Hで探す。

  • What(問題の設定):何を解決するのか?
  • Where(問題箇所の特定):どこが悪いのか?
  • Why(問題原因の究明):なぜ起こるのか?
  • How(解決策の立案):どうすれば良いのか

そもそも何を問題として扱うのかのWhat、問題箇所が集中するような切れ味の良い切り口を探すWhereへの思考の引き戻しを意識するスタンスを持って問題解決に望むことが大切である。

今後のToDo

  1. 課題提起を行うときは、Big-whyの大元の目的に立ち返る
  2. 新しい事業を考えるときは5W1Hの観点で新しい要素を入れられないか検討する
  3. 新規事業に限らず新しいことにチャレンジするときはWhy-What-Howの3点セット」で説明する
  4. 問題解決へのアプローチはまずWhatとWhereに思考を引き戻す