データサイエンティストの備忘録

外資系コンサルティングファームでデータサイエンティストとして働く筆者がコンサルティング関連の知見やデータ解析技術を活用するために学んだ内容の備忘録

【読書メモ】仮説思考

 

 

読んだ目的

本書を読む目的は主に3点あり、これらの能力を身につけ、クライアントにとって価値のある分析アウトプットを作成できるようになる。

  1. 仮説に基づく分析設計を実施できるようにするため
  2. データ解析案件にて分析設計から分析結果に基づきアクションにつながる示唆出しをするため
  3. 仮設思考を習得して分析を迅速に漏れなく実施できるようになるため

 

得られた学び

章別に内容の要約と今後の仕事やデータ解析に使えることを記載する。

<第1章>

仮説思考でデータ解析を進めると、実際のアクションにつなげるための分析・示唆を出すことができ、大きなストーリーがあることで分析結果に基づいて関係者が仕事を進めやすくなる。

  • 先見力と決断力を支え、問題解決スピードが格段に速くなるために必要となる。
  • 情報コレクターではアクションにはつながらず、情報が多すぎると意思決定は遅くなるため、網羅思考は捨て、実行案思考アプローチで進める。
  • 分析・実験する前に論文を書くように、まずは手元にあるわずかな情報だけで、最初にストーリーの全体構成を描く。間違った仮説でも良いので、まずは仮設を立てることを重視する。仮説に基づく大きなストーリーを描くことで、仕事もスムーズに進む。

 

<第2章>

仮説を持ち5つのステップを繰り返すことで仮説の精度を上げ問題解決する。分析時は仮説に基づき、まず全体ストーリーを構築してから進めることで、無駄作業を減らし、必要な分析だけを実施する。

  • 問題発見から解決に向かうプロセスの中で5つのステップで分けて進める。このステップを何度も繰り返すことで仮説の精度を高めていく。
    1. 問題発見の仮説
    2. 問題解決の仮説
    3. 問題の絞り込み
    4. 具体的な打ち手の仮説
    5. 具体的な打ち手の絞り込み
  • 仕事の全体構成を見通し、十分な分析・証拠がない状況でも、まずは問題に対する解決の方向性や具体的打ち手に踏み込んで全体の仮設をつくる。
  • 全体ストーリーを作る時に必要なのが、「構造化」である。構造化では「現状分析してみると、①②こんな分析結果が得られるだろう。その中でも③問題の真因はこれで、その結果として④いくつかの打ち手が考えられる。中でも⑤最も効果的なのはこの戦略だろう。」のようなストーリーを作成する。
  • 人を動かすためにも全体ストーリーを持ったプレゼンをすることが必要となる。アウトラインを作る場合、「空パック」を使うと良い。ストーリー毎に空スライドを作成した後、適切なグラフ・資料を作成する。

 

<第3章>

仮説を思いつく瞬間は様々あるが、分析結果、顧客とのディスカッション/インタビュー、ヒラメキによって仮説を構築する。

  1. 分析結果から仮設を立てる方法:データの可視化を行い、得られた示唆から仮説を立てる方法(詳細は可視化の方法を勉強する必要がある)
  2. インタビューから仮説を立てる方法:①業界・業務理解、②問題発見・整理、③仮説構築・検証を目的にインタビューを実施し仮設を立てる
  3. ヒラメキを意図的に生む方法:反対側の視点から見る(①顧客・消費者視点、②現場、③競争相手)、極端なケースを考える、ゼロベースで考えるといった方法で仮説を検討する

良い仮設と悪い仮説の違いは2つあり、イシュー・ツリーを使い仮説を構造化し、たてた仮説を検証して、さらに踏み込んだ仮説を立て、繰り返し検証する。

  1. 掘り下げられている:So whatを繰り返して仮説を掘り下げる
  2. アクションに結びつく:具体的解決策につなげて解決する必要がある

 

<第4章>

仮説は①実験、②ディスカッション、③定量分析を行うことで検証する。

  • 実験による検証では製品のテストマーケティングして仮説検証する。多額の開発費がかかる製品では実験には不向きである。Web関連のLPやPUSHではABテストをクイックに実施することができる。
  • ディスカッションでは必ず仮設を立て、仮設を否定せずに進化させるによるなディスカッションを行うことで検証する。
  • 定量分析はQuick and Dirtyで行う。第一に自分が納得するための分析で、仮説が合っているかを検証する。第二に、他人を説得するために精緻な分析をするが、学術論文に求められるレベルの再現性は必要なく、意思決定に必要な分析を行う。

定量分析の基本技は4つ紹介されていた。細かい分析方法・可視化方法は別の本で学ぶ。

  1. 比較・差異:市場シェアや売上の比較
  2. 時系列:時間的な変化を2,3年だけでなく、10,20年の期間で集計してみる
  3. 分布:相関関係、特異点、異常点がないかの分析
  4. 因数分解:問題を要素分解し、重要な原因を探す

 

<第5章>

良い仮設は仮説検証を多く経験することで脳内で瞬間的に繰り返し検証し、最初に出す仮説の精度が上がる。仮説思考力を磨くことで初期仮説の精度を高める必要がある。

 

レーニング方法は常に下記2点を考えることである。

  1. So what?を常に考える:ニュース等で見た内容について考えること
  2. 5回なぜを繰り返す:

実践する際は、仕事から家庭まで様々なケースで考えることが可能である。

  • 仕事:相手の立場で仮説検討、上司の立場で意識決定シミュレーション
  • 家庭:近所のレストランから家具を買う時の意思決定等
  • 時事:新聞記事やニュースから考える

 

今後のToDo

  1. So what?と5回のなぜを毎日考えるトレーニングを実践する
  2. 仮説を立てることができる自分なりのやり方を探す